そろそろ帰ろうとメインストリートを歩いていると、柄杓で水まきをしているお店のご主人がいました。
懐かしいたたずまいの金物屋さんです。
「どこから来たの?」から始まって、ここ佐原の古い話を聞くことになりました。
「ここにある石、なんだかわかる?」 なんの変哲もない石が店のわきに置かれています。
「道路元票っていってね、ここが佐原の起点なのよ」 その起点にお店があるということは古いんだな。
↓ ↓ 「佐原町道路元・・・」まで読める
「道の真ん中にマンホールがあるでしょ、あの下に大きな井戸があったのよ、なんのためかわかる?」
「となりが20代目、うちが17代目だけど、この辺の2~3代目という家は古いことは知らないからね」
昔の暦があるからと店の奥に案内して見せてくれたのは、明治22年の額入りカレンダーでした。
↓ ↓ 明治22年の暦
金物屋さんのご先祖は、地元でも信頼されていたらしく、「佐原で、家だけに許されていたものがあるんだけど、何だと思う? 今までに当たった人はふたりくらいかな」
刃物かなと思ったけど違った。また店先に出て、並んでいた鍋をどかして見せてくれたのは、『度量衡』の木札でした。
重要な人物が佐原に来るとあいさつしたり、町のお金の管理とか、はかりの管理(?)などをやっていたそうだから、町の有力者だったのでしょう。
「脇の路地は奥まで行ってみるといい。奥にはお稲荷さんもあるよ。この辺芸者さんが多かったから、町のあちこちにおいなりさんがあるんだね」
地元に住む人の古い話は面白いです。ご主人もだれか聞いてくれる人をさがしていたのかもしれません。
ところで、古い大きな井戸の話はどうなったんだ?
↓ ↓ この下に直径3メートル以上の大井戸があったそうです
「あれね、利根川から揚がった荷を江戸に運ぶのに、馬を使っていたときの水飲み場だったのよ」
そういうことだったのか。馬の水飲み場といえば、ヨーロッパでも各地で見かけたことがある。