題名以外、まったく文字のない絵本です。作者はベルギー生まれのガブリエル・バンサン。(2000年に72歳で亡くなっています)
鉛筆の線画のデッサンだけで、構成された本、アンジュール。
原題は(un jour, un chien) 、日本語では、「アンジュール ある犬の物語」となっています。
アンジュール(un jour)は、フランス語でいくつか意味があります。(過去の)ある日または(未来の)いつか、そして、わずかな間という意味もあります。犬の名前かもしれません。
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車から投げ捨てられた犬が、必死にあとを追いかけます。しかし追いかけられなくなって諦めます。そばを通る車や、遠くの人影に飼い主の姿を探します。
一日中さすらう犬の様子が、文字も色もないデッサンだけで綴られていきます。最後に一人ぼっちの少年と出会うところで終わります。
絵本というと子供の見るもの、読むものと思いがちですが、おとなが見てもなかなか見ごたえがあります。
この絵本を見ながら、あずきの放浪時代をダブらせて想像してしまいました。